みかづきときどき日記

大学でアメリカ文学を教えています。本や日常のことなどゆるゆる

日本文学

『ほりしぇん副校長の教育談義−−悩み多き中学生のキミへ、そして若き教師に向けて』(みくに出版、2024年)

振り返ってみるに、わたしの中学生時代というのは暗黒の日々だったと思う。地方都市の公立中学に通っていたけれども、教師が絶対的な力を持っていて、体罰は当たり前。忘れ物をしたらビンタ、すこし騒いだら廊下で正座、怒ると黒板消しで生徒を叩いてチョー…

逢坂冬馬『歌われなかった海賊へ』(早川書房、2023年)

物語は現代のドイツから始まる。 歴史教師のクリスティアン・ホルンガッハーは、30年間「この市と戦争」という課題を生徒に出し続けていた。次第に戦争の記憶が薄れていく時代にあって、この課題の意味はあるのかと思うホルンガッハーは、生徒たちのレポート…